ゾーン、フロー、ピークエクスペリエンスの作り方 〜裸足と褌と富士登山競走と〜
エクストリームスポーツでゾーンが起こりやすいことと、裸足トレイルでゾーンが起こりやすいこととは通底している気がする。
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月5日
第70回富士登山競走は、
自身の想像をはるかに超越する
生涯忘れることのできない衝撃的な結果を残した。
そのことについて何か書き残しておかなければなるまいと、
久しぶりに完走記としてブログを更新した。
しかし、ただの完走記、結果報告だけでは物足りない。
大切なことを十分に言い表しきれていない。
そんな不全感。
この富士山を裸足で駆け抜け、
全身を突き抜けていった、
あの恍惚感
今なお残る多幸感
フラッシュバックするエクスタシー
それらは余韻を残し、
周囲に拡散し、
増幅し続けている。
あれから一週間。まだ脳はあの至高体験から冷めやらない。何かの栓が抜けてしまったのか。とめどなく、尽きることなく、超越した何かが溢れでてきていて、ふわっと流れている。
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月4日
ゾーン、フロー、ピークエクスぺリエンスで得た強烈な多幸感は持続、遷延し、そして周囲に拡散する。人生の展開が根底から変わってくる。
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月5日
この我が身に降りそそいだ強烈な超越現象をなんとか言語化して書き残しておきたい。
一体どのぐらい「超越的」「衝撃的」結果だったのか。
1年前、馬返し〜山頂まで裸足で無理くり3時間55分。今年の市役所〜山頂の3時間57分とほとんど同じ。市役所〜馬返し分の1時間速くなったってどんだけ驚異的な速さだったか。我がことながらマジ鳥肌立ちました。
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年7月30日
1年前の試走の記録がブログで確認できる。
タイムを見るまでもなく、今回の結果とは程遠いことが行間に滲んでいる。
今年の試走の結果も、昨年からの進化を感じつつも、
レースの土俵に立てるか立てないかギリギリ瀬戸際の仕上がりだった。
浅間神社から山頂まで4:30。試走、荷物、休憩、市役所からの未踏区間を考慮するとギリギリライン…
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年7月10日
あれだけ精進し続けても決して届くことがなかった、
富士登山競走を完走する裸足スキル。
それがレース本番で、
想定を30分以上も上回る
サブ4
3時間台とういう
驚異的な結果。
もはや、
ゾーン、フロー、ピークエクスペリエンスを引き合いにださなければ説明しきれない。
ゾーン、フロー、ピークエクスペリエンスに関してはこの本に詳しい。
ゾーンとは簡単に言えばこんな状態である。
●きわめて高い集中力を発揮している「研ぎ澄まされている感覚」を味わう
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月4日
●時間が止まったかのような「時間感覚」の歪みを覚える
●陶酔状態に陥り、恍惚感、多幸感を抱く
●痛みや苦しみ、ストレスから解放され、感情のコントロールができる
●きわめて短い時間の中で適切な判断ができる
さらに、わかりやすい例で言えばこんな感じだ。
こどもの頃、砂遊びに夢中になると、そのうち靴脱いで裸足になって、服はドロドロになって、大地と渾然一体化して、自分が自分でなくなって。
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月4日
ふっと気がつき我にかえると、辺りが真っ暗になっていた。
あの経験がフロー、ゾーン、ピークエクスペリエンスの原体験だったんだな。 https://t.co/9mRdotjVvb
毎回毎回ゾーンに入っている、極度に集中している選手たちが現れたのです。それが、エクストリーム・スポーツというスポーツの選手たちです。彼らは毎回死ぬかもしれないという危機感でやっているのでゾーンに入りやすいということがわかった。 https://t.co/3T8nadxAke
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月4日
大のオトナが砂場遊びに夢中になった童心に帰ることはとても難しい。
さらに死ぬかもしれないとい危機感を抱くことはもっと難しい。
しかしそれが、
裸足になること、
六尺褌一丁になること、
ミニマルな装備で山に入ること、
それだけのことで可能性が格段に上がる。
これらは『超人の秘密』著者の言うところの
「外的なフロートリガー」となり、
全能感
多幸感
驚異的なパフォーマンス
それらの発現の引き金となった。
『超人の秘密』が説明する4つのトリガーの要約は以下に詳しい。引用する。
『超人の秘密』の感想~僕らはどうやってフロー状態になるか~|mickipedia
「外的なフロー・トリガー」
「内的なフロー・トリガー」
「社会的なフロー・トリガー」
「創造性の面でのフロー・トリガー」
<外的なフロー・トリガー>
・リスク
-目の前の脅威にすぐに対応しようと脳が活性化する
-危険な状況では脳がノルアドレナリンとドーパミンを出し、いい気分になる。つまりリスクそれ自体が報酬となり次第にリスクを追い求めるようになる
-"危険なこと以上に私たちの注意を引くものはない"
・多様性のある環境
-「新規性」「予測不可能性」「複雑性」が同時に存在する状況
-新規性は危険とチャンスの両方を意味する
-予測不可能な状況では次に何が起こるかに細心の注意を払う
-複雑性がある状況では重要な情報が一気に押し寄せてくるため、やはり脳が敏感になる
・深い身体化
-全身レベルの感覚の入力の全てに、同時に注意を払う状況
-むしろあえて前頭葉機能は低下し、身体全体で注意を払う
<内的なフロー・トリガー>
・明確な目標
-明確な目標を立てることは作業の内容をはっきりさせる
-そしてその作業と信念を一致させ、自分がそれをする理由を理解することに役立つ
・直接的なフィードバック
-原因と結果をその場で直接的に結び付ける
-入力と出力の時間的な隔たりが小さいほど、自分のしていることとそれをもっと上手くやる方法が良く理解できる
・挑戦とスキルの比率
-注意が最も高まるのは、作業の難しさと、その作業のためのスキルがある特定のバランスにある場合
-挑戦のレベルが高すぎると不安で頭がいっぱいになるし、低すぎると退屈してしまう
-一般的には、挑戦のレベルがスキルを4%上回っている状況が最も良い
<社会的なフロー・トリガー>
個人だけではなくグループ全体としてフロー状態に入るためのトリガーを「社会的なフロー・トリガー」と呼び、以下の10のトリガーがある(既に上で挙げたものと被るものもあるが)
・完全な集中
・共通の明確な目標
・良好なコミュニケーション
・対等な参加
・リスク要素
・親密さ
・エゴの融合
-グループにおける謙虚さ
-自分だけむやみに目立ちたがることもなく、全員が全面的に関与する
・コントロール感
-自主性:したいことを自由にできる
-適性:自分のしていることが得意である
・傾聴
-グループでの会話ややりとりの展開にあわせて、準備していなかった答えや行動をリアルタイムで生み出せる
-次にどんなことを言おうかとか、誰かがどんなことをし出すかなどを考えているのは傾聴ではない
・つねに前向きな姿勢
<創造性の面でのフロー・トリガー>
・フロー状態に入るために最も重要なのは「価値のある独自のアイデアを考え出す」というプロセス
-独創的なアイデアを思いついて世の中に伝えようとすれば必ず、失敗する恐怖、未知のものへの恐怖、世間に笑いものにされる恐怖、リソースを失う恐怖、など全ての段階で大きなリスクが伴う
-創造性を発揮することは見たことの無いパターンを発見することに等しいが、このパターン認識にはドーパミンの放出が伴い集中を高めフロー状態に短時間で入れるようになる
以上引用終わり。
一つ一つを今回のピークエクスペリエンスと照らし合わせることは割愛するが、
完走記から驚くほど多くのシンクロニシティーを発見することができるだろう。
そして以下のことは確信を持って言える。
富士登山競走が持つそもそものエクストリーム性と、裸足、六尺褌、時計なし、ゾーンのプレヒート時間30分+最大持続時間の4時間の合計が制限時間であったことなどなど、ゾーンを誘発し、最高のカタチで発揮する条件はあまりに整い過ぎていた。起こるべくして起こった。
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月5日
そしてさらに追記するならば、
私は裸足以外でフロー状態を体験したことがない。
裸足でハセツネを走った時もゾーンとまではいかないが相当フローな状態だった。浅間峠や三頭山までに限ればゾーンの様な体験は多々あったし、日の出山がゴールだったなら、この事についてもっとディグっていたと思う。それだけ金比羅尾根にやられて相殺されてしまった感があるということなのだが。
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月5日
甲斐駒ケ岳の黒戸尾根を裸足ソロで日帰りピストンした時も、意識状態の変性を感じていた。マインドフルネスやナチュラルハイなどと捉えていたけど、あの時もフロー、ピークエクスプリエンスだったんだ。いまならわかる。
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月5日
裸足は私にとって必要不可欠なフローハッカーアイテムなのだ。
ニンゲンに生まれてきたからにはゾーン、ピークエクスペリエンスを味わってから死にたい。
何か難しいスポーツや音楽を鍛錬することができなくても、裸足で野山を彷徨う、ただそれだけで、この恍惚、エクスタシーを味わえる可能性は俄然高まる。— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月5日
なぜこんなことが言えるのか。
それはこのピークエクスペリエンスには相対的なスピードは関係ないからだ。
他者評価は関係ない。
むしろそれはフロー発現の阻害要因の筆頭ですらある。
フロー発現にはあくまで絶対的な自己評価が重要なのだ。
スピードは個性。埋めがたい速いと遅いの違いがある。でも裸足スキルには個性はない。全てのニンゲンに平等に与えられている。あるのは覚醒の度合の違いだけだ。
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月1日
ゾーンは一部のエリートパフォーマーだけのものではない。
ニンゲンなら誰しも味わうことのできる至高体験なのだ。
そのために生きていると言っても過言ではない。
裸足トレイルは外的なサポートに頼らないそのスタンスにより、エクストリームスポーツと同等かつ、はるかに安全かつ汎用的に「ゾーン」を惹起させる準備状態を作り出すのではないだろうか。
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月5日
この至高体験から、
これまで潜在意識のなかに眠っていた、
裸足ランニングの新たな地平が完全に覚醒した。
そんな気がしている。
足裏を閉ざすことはこころを閉ざすこと
— man@11/26つくば (@man10000) 2017年8月5日
裸足であることはこころを開くこと
閉ざしていては、なにも入ってこない
たしかにそれは
外敵の侵入を防ぐかもしれないが
同時に超越的なものの出入りをも防いでしまう
それを「安全」と考えるか、「損失」と考えるか
人生は二つにわかれている
もう後戻りはできない。
人生はさらに加速していく。