ゾーラ・バッドの再来を夢見て #千葉クロ

 

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2018 X-RUN CHIBAクロスカントリー大会 20km団体表彰式 #千葉クロ

  

 
表彰台の最上段に登った事があるランナーは全体の何パーセントだろうか。
レースの大小問わずにしたとしても、ほんの数パーセントの割合じゃないだろうか。
自分もごたぶんにもれず半世紀弱、表彰台とは縁のない日陰の人生を歩んできた。

「別に一等賞になんかならなくてもいいよ、ほどほどでいい」
「2番や3番ぐらいの方が渋くてかっこいい」
「優勝逃したからってあんなに悔しがる必要なんてないのに」
「勝者になると、なんか敗者の人が気の毒」

ずっとそんなカタチで「勝つ」ということに屈折した感情を抱いていた。
それは、負けず嫌いを隠す防衛機制であったかもしれない。
シューズにスポイルされてきた自分のポテンシャルを信じてなかったからかもしれない。


しかし2018年2月4日、表彰台の頂点に立った時、すべてが一変してしまった。

所属の裸足チームが伝統の陸連主催のレースで団体優勝したのだ。

 

 



昨今の裸足ランナーに対する風当たりは決して順風満帆なものではない。
裸足を禁止する陸上競技場やレースの存在。

それらが裸足ランナーを不必要に萎縮させてきた。
裸足で走る事は陸連の規則に正式に以下のように認められているにも関わらずに。

 

 
千葉クロの裸足ランナー参戦は前代未聞。
主催者が裸足ランナーに対してどのように対処するかは未知数。
最悪出走が認められなかった時のためにビブラムファイブフィンガーズを用意した。
しかし全ては杞憂だった。

OTT(オトナのタイムトライアル)実行委員によるフレンドリーな運営が

マイノリティーである裸足ランナーをあたたかく迎え入れてくれた。
陸連の役員の方々も同様で、ネガティブさ皆無の非常に気持ちの良いレースだった。
こんな陸連Twitter中の人との淡い交流も印象深かった。



もともとクロスカントリーはトレイルよりも整った路面を走るため、

裸足の独壇場でありアドバンテージは十分に予想していた。

そして実際走り終え、仲間とともに想定以上の裸足の優位性を実感していた。
「ここを裸足で走らずして、どこで裸足になろう」かという程、
ため息のでるほどの美しい、裸足ランナー垂涎の芝のサーフェース。



スパイクを履いてレースを終えた中高生エリートランナーからこんな声が漏れ聞こえてくるのも無理からぬ環境。


2018 X-RUN CHIBAクロスカントリー大会 20km 団体優勝:はだし駅伝部A

これがわれわれの裸足の走りだ。
走りをご覧になられるとわかるように、今回参戦した裸足ランナーは自分も含めて、若い頃の陸上経験は皆無、運動経験も希薄。

30〜40歳にしてはじめて本格的にランニングを開始したランナーばかりだ。
それが裸足ランを研鑽する事で、

俊足とは言い切れないがしかし、
強靭な走りをものにして、人生ではじめて表彰台の頂点、優勝を勝ち得たこと。
全ての人の中に眠っている潜在能力、可能性を実感せずにはいられなかった。
この優勝を経験し、ますます鍛錬が加速するだろう。

それだけに幼少期から運動が得意で表彰台常連の、
学生エリートランナーたちが、
裸足で潜在能力が呼び覚まされ、

本能猛り狂う人間の素のチカラ、

極限の走りが見てみたい。


そうだ、

わたしたちは「ゾーラ・バッドの再来」とよばれる陸上女子が
千葉クロを裸足でぶっちぎり優勝するのを目の当たりにするという

夢への第一歩を踏み出したんだ。

裸足は表彰台の最上段が一番似合うから。


Zola Budd - World Cross Country Champs, Neuchatel, 1986