裸足スカイランニングへの憧憬(富士登山競走馬返し山頂試走)
裸足スカイランニング。
なんて甘美で危険で夢のような響きだろうか。
エクストリーム オブ エクストリーム。
裸足で高山を走り回る。
そんなことが果たして可能なのだろうか。
昨年、富士登山競走五合目コースを裸足で完走し、
今年山頂コースを初挑戦する。
裸足ランナーとして山頂コースも裸足で完遂したい強い気持ちがある一方で、
あの7合目から続く溶岩地帯を裸足でレースペースを刻めるのだろうか…。
裸足のチカラを信じる強い気持ちが不安を打ち消す一方で、
5合目コースの時のようにぶっつけ本番で走ることを躊躇する、
「なんとかなるさ」と吹っ切れられない、
迷いがこころの中にあった。
どうしても試走する必要があった。
馬返し〜5合目(佐藤小屋)
スタートから馬返しまでの舗装区間は、中の茶屋以降のガレたアスファルトで若干失速しながらもレースできることはわかっていいたので試走の必要なしと考えた。
未踏のパートだけ試走が必要だったため、5合目からのスタートも考えたが、
5合目までの交通費等のコストを考えて馬返しスタートとした。
途中写真撮影したり、他の試走のランナーと話したりしながら6〜7割程度の出力で走り、1時間ジャスト。
昨年の5合目コース本番とほぼ同じタイムだった。
このパートは日本の他の低山と似たサーフェースで、
裸足ラン的には難易度は決して高くない。
飯能ベアフットマラソンを少し難しくした程度。
登りはシューズランナーと遜色ないペースをキープできるが、
斜度がゆるくなってシューズランナーが走りを入れるところをは、
足裏事情的に走れず必ず遅れをとってしまう。
昨年の苦々しさを思い出してしまった。
5合目(佐藤小屋)〜8合目
ここからの路面サーフェースは未踏で今回初。
6合目の合流地点からの砂礫が第一関門だったが、
足裏を摩擦しない裸足ランの着地のためか、
まったく滑らず、サクサクと外国人ハイカーをパスして登れる。
「オーマイゴッド!」
「オー!シューレス!」
「ジーザス!ベアフット!」
パスするたびに感嘆の声援を受ける。
ここまでは完走ペースで刻めたが、
快走はここまででTHE END。
7合目手前の溶岩地帯からにわかに大失速。
現在の裸足スキルでは全くレースペースを刻めないことが露呈しはじめる。
足裏の置き場のないギザギザの岩の連続。
数少ない足の踏み場、
それを踏むための無理な体勢、
ルート取りを考える長い時間、
足裏の除圧のための四つ這い。
足裏がどんどん過敏になり、ハイカーとそう大差ないペースまで低下
8合目トモエ館で足裏の神経がいっぱいいっぱいになりたまらずブレイク。
足裏に傷はなく、筋疲労も、心肺も問題ないのに、足裏の神経がこれ以上の入力を拒否した感じ。
ちょうど小江戸大江戸を100km走った時と似た感覚だった。
このまま裸足で山頂までハイカーペースで刻み裸足登頂にこだわることも考えたが、
完走することが至上命題のこの競走。
裸足への未練を断ち切り、
ワラーチを履き山頂までどの程度で登れるか試すことを選択した。
この区間2時間半ぐらい。
8合目〜山頂
ワラーチを履いた瞬間からの全能無敵感がすごかった。
これまでの足裏の刺激が嘘のようになくなり、
ふかふかの絨毯の上を歩くような足取りで、
あっけないほど簡単に山頂に到着。
この間おそらく30分未満。
馬返しから4時間弱で山頂に到着。
最高の天気と最高の気分でお鉢巡りをし、下山。
山頂〜6合目
この間のブルドーザーの走る下山道の砂礫の深さに消耗する。
くるぶしまで埋まる砂礫の下り坂、
man結びワラーチと足裏の間に容赦なく入り込む石、石、石………
足裏的には裸足とほとんど大差ない状態で下る。
それでもハイカーよりは速いペースをキープ。
7合目まで下山したところで持参のトレイル用のワラーチにスイッチ。
厚手のソールに革紐で縛るので足裏の密着度は高いがそれでも石は侵入してきて、
スイッチバックごとに石を取り除く儀式を要した。
6合目まで断続的に延々と続くワラーチ砂礫下りは登りよりもある意味過酷だった。
一方で「居つかない」接地ができると砂礫に埋もれることなく、アメンボが沈まない様に駆け下りれる瞬間もあったりと 学びも多かった。
スピードが落ちて、心拍も120を下回ったためか、
下山時に初めて高度障害の影響による頭痛がはじめて出て、6合目まで続いた。
そこまでは低酸素症状はなかった。
6合目〜馬返し
この間は普段のトレイルランニングと同様、軽快に下山。
山頂からおよそ2時間で下山した。
試走による結論、課題
裸足スカイランニングはその主戦場のサーフェースである岩や砂礫上をしたたかに走れる裸足スキルが必須ということがわかった。
これはかなり難易度が高く、現状まだ自分には備わっていないということも。
富士登山競走山頂コースを裸足でレースできる裸足スキルは残念ながら未だ身についてない。7合目までが限界。本番はワラーチで。
— man@7/24富士登山競走(山頂) (@man10000) 2015, 7月 14
あの岩場を裸足でレースペースを刻むには相当な鍛錬を要する。シューズを知らずに生まれ育った野生の裸足なら容易なのだろうか。
— man@7/24富士登山競走(山頂) (@man10000) 2015, 7月 15
登りだけならロードワラーチ最強。でも下山はハイカーペース。下山も考えればトレイルワラーチ。でも重たい分パフォーマンスの低下が惜しまれる。妙案はないものか…
— man@7/24富士登山競走(山頂) (@man10000) 2015, 7月 15
レースに出場するからにはレースできる装備が必要。
ワラーチを履く以外に他ない。
ワラーチで走る以上はタイムも順位も高くこだわっていきたい。
あわせて今後の裸足スキルの進捗をみつつ数年後の裸足での完走にこだわってゆきたい。
ワラーチで走ることで、去年裸足で見えた風景とはまた違ったものがたくさんみえてくるだろう。
それがいまからたのしみでならない。
富士山がランナーに与えてくれるギフトは計り知れない。
— man@7/24富士登山競走(山頂) (@man10000) 2015, 7月 16