左重心と右重心とシンメトリーと
ランニングを続けていると、自分のカラダの動きが 左右対称でないことが無性に気になってくる時期がある。
特に裸足ランにおけるカラダとの濃密な対話では、
のっぴきらない巨大なフォーカスになるときがある。
エリートランナーの動きを動画で見ると左右の動きが惚れ惚れするほど対称。
一方で自分の走りの動画はみにくく左右の動きに歪みが生じている。
どれだけ意識しても左右対称、シンメトリーにはならず、
かなり頑張ってようやく形が整ってきたと自己満足したころに、
却ってスランプになったり、ケガしたりしている。
そんな体験をしたことがないだろうか。
また、この竹内氏の『シンメトリーな男』によって、
左右対称の優位性、シンメトリーでなければ 存在価値はないという、
世間一般に蔓延する 価値基準が 存在する。
この風潮が、その「シンメトリー強迫症」にさらなる拍車をかける。
自分も御多分に洩れず左右対称にできないコンプレックスに苦しみながら、
暗中模索、試行錯誤の日々だった。
そんなある日、裸足でいつもの道を走っている時こんなインスピレーションを受けた。
自分の場合、左の接地が安定している。右がおっちょこちょいで左の接地をなかなか真似できない。左が軸足的な安定感があるから右は頑張らずに左に便乗するぐらいの軽い接地イメージでいくとうまくいく気がする。第三者には全くわからないレベルのわずかな動きのはなしだけど。
— man@7/24富士登山競走(山頂) (@man10000) 2015, 5月 11
着地の左右差。接地をしくじった時に痛みを感じるいつもの部位の左右差。これを解消するために左右の動きの平準化を目指していたが、左右別々の動きの方向性の方が良いのかも。左右の脚の長さ、筋肉のつき方、骨格も完全なシンメトリーではないことを考えればその方が利にかなっているのかもしれない。
— man@7/24富士登山競走(山頂) (@man10000) 2015, 5月 11
このひらめきから「シンメトリー!」と騒ぎ立てるアタマは介入させずに、
カラダが自然にやりたがる動き、左右非対称な動きに自由にまかせたところ、
裸足で接地をしくじり、痛みが頭に突き抜けることがほとんどなくなり、
結果、接地感の左右差も消失した。
不思議に思い調べると「左重心」というキーワードがヒット。
かなりシンクロしていた。
この著書の「フランクショーターの左足」という章の中で、
非常に興味深いショーターとのやりとりが記されている。
それは、まさにインスピレーションとまったく同じ内容だった。
「ぼくは左足で走るんです。」
では、「右足は?」と訪ねると、
「サブです。」
左足を主軸にして走り、疲れれば時々右足に軸を切り替えて走っている。
左足を主軸にして走っている時間が長い程その日の記録がよい。
40万人以上の足裏を研究し続けた著者平沢氏は
左足には全身を支える主軸性と進行を定める方向性とがあり、
右足にはスピードのコントロールと攻撃性、器用性などの運動性がある事が明らかになった。
と、記している。
また左重心を 実際 緻密に意識して取り入れてマラソンを走っている方もいた。
さらに左重心に関して調べると、こんなおもしろい話も見つかった。
簡単な実験をしてみよう。立ったまま足を左右に開いていく。左のお尻に重心を置くと前にかがみやすくなるのがわかるだろう。今度は逆に右のお尻に重心を置くように意識してみよう。さっきとは反対に猫背になって倒れにくくなるはずだ。真っ直ぐ立った状態でも体の左側に重心を置くと背筋が伸びる。前方に力がかかるため、バランスを取るために頭を後にそらそうとするためだ。
百貨店やスーパーなどで行われる実演販売。興味がありそうな人は左足に重心がかかっている。体が前のめりになっているのだ。逆に冷ややかに見ている人は右足に体重がのっている。演じている人と無意識に距離を取ろうとして、体を後ろに引いているためだ。
教授のひとりごと : 左重心は前向き、右重心は後ろ向き? - livedoor Blog(ブログ)
人間は左重心になると前進する力が生まれ、
右重心になると後ろ向きの 力がうまれるというこの仮説。
なかなか興味深い。