トレイル用ワラーチの作り方
究極の裸足スキルはどんな路面状況でも裸足で痛みを感じることなく、最速に走れることである。
なので究極の裸足スキルがあればワラーチすら必要ない。
しかし、未熟で発展途上な裸足ランナーにとってワラーチは、裸足の良さをあまり損なうことなく未熟な足裏をサポートしてくれる最高に便利な道具である。
ある程度の裸足スキルがあればロード用の薄くて軽いワラーチで、どんなサーフェースでも走破することができる。
しかし過酷なトレイルを長時間、ある程度の速さを求めながら走る時などは、さらなるサポートを必要とすることもある。そんな時にトレイル用ワラーチが必要となってくる。
トレイル用ワラーチ
コンセプト
裸足スキルが今よりずっと未熟だった頃、ワラーチを砂利道で走り石の突き上げに根を上げ泣きが入ったことがあった。
そこでワラーチの素材を重ねて分厚くしたり、分厚い素材を使ったり試行錯誤した。しかし柔らかい素材ではかなり分厚くしても底付きした。また硬い素材は得てして重く、追従力がなく足裏の動きを阻害した。また厚さを求めることで重量増を招き、裸足の走りの質の低下に直結した。なかなかいい方法が見つからなかった時に、防音室をDIYしようとしていた時の防音壁の理論にインスピレーションを得た。
防音壁は柔軟な吸音層、間の空気層、硬く重い遮音層の3重構造で威力を発揮する。
これがそのままワラーチに使えると。
1、必要物品
材料
革紐1.5m 2本
ビブラム板 8338
人工杉皮
ビブラム半張り
みなさんおなじみ8338ビブラム板。柔軟な素材。これが吸音層。
棕櫚(シュロ)でできた人工杉皮(園芸用品売り場にあります)。これが空気層。
硬く重いビブラム半張りが遮音層なのでフットベッドに。濡れた時の滑り止めの為にビブラムの刻印のある側を足裏に触れるようにして摩擦係数をあげるのがポイント。
紐使いは、オーソドックスなララムリ縛り
足の甲に回した紐をかかとの紐の下を潜らせることでかかと紐のずり落ちを防ぐ。
足首にぐるりと二重に巻いて足の甲の紐に結びつけて完成。
【重要】接着材を使わない!!素材同士を接着させない。
〜メリット〜
様々な素材を簡単に試行錯誤できるようになる。
単体で使えばロード用ワラーチにもなる(併用できる)。
重ねる素材の順番を変える試行錯誤もできる。
走る距離、スピード、トレイルのガレ具合によって、
2枚へ軽量化、4枚へ重厚化変更なども自由自在。
接着しないと心配する向きは多いが、全く問題ない。慣れると接着していたことが馬鹿らしく思えてくる。
異種素材の3層構造により無駄に重くならず厚くもならない。薄いのに、ガレ耐性があり、裸足感覚が保たれる高次元のバランス。
27.5cm 4E相当で片足119g。
ロード用の約3倍。柔軟性があるためか重量比ほど重さは感じない。
man結びワラーチ43g!
裸足0g!!!!!wwwww
本家メキシコのララムリの古タイヤで作られたワラーチは、コパーキャニオンの過酷な環境とララムリ達の物質的生活に順応適応して生まれてきたものだ。
それを日本の環境でそのまま使えばフィットしない部分がでてくるのは当然のこと。
日本に最適化されたワラーチがあるはずだと考え、これまでワラーチを数多く自作、試行錯誤を重ねてきた。
こうした意味において、man結びワラーチは日本のワラーチ(主にオンロード用)としての一つの完成系であると自負している。
ならば日本ならではのトレイル用のワラーチの完成形も作り上げたいと考えてきた。
日本特有のトレイル環境に適したワラーチ。
日本の野山は四季折々の様々な様相を呈する。
車の入る林道、砂利道から、落ち葉のシングルトラック、溶岩の岩場からつるつる滑る岩場、雨や、霜が溶けての泥濘トレイルまでその全てのサーフェースをストレスなく走れる理想のワラーチ…
実は最近、裸足トレイルランニングに夢中になるあまり、山をワラーチで走ることよりも裸足で走る機会が増えてしまい開発テストが1年程すすんでいない。
全てのワラーチストの懸案である泥濘セクションでの強さなどの対策も不十分なまま。
その間、熱いワラーチスト達によってワラーチに使える新たな素材がいくつか発掘されテストされている(人工芝素材やノンスリップシートetc)。今後、3層に使う素材をさらに吟味することでよりトレイルワラーチとしての完成度を上げていくことはあるだろう。
いずれにしても、このトレイルワラーチの基本コンセプトの合理性は揺るがないし、普遍性があると自負している。